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科目別アドバイス(物理)

物理2 いろいろな種類の法則を区別する


前回の記事から続く

物理では「運動の法則」「アルキメデスの原理」「ガウスの定理」など、「法則」で統一せず、色々な名称が使われます。法則、原理、定理などの言葉の区別は、どちらかと言えば歴史的なもので、学問的な合理性があるとは、必ずしも言えません。全部まとめて「数学の定理と同じと思えば良い」と考える受験生も多いでしょう。

しかし、名称は別として、それぞれの内容の違いを把握しておくことは必要です。


基本法則と殆ど無関係な「・・・の法則」

基本法則から現象までの道筋を見出すためには、比較的単純な現象でも、様々な工夫が必要となります。とくに計算を可能にするために、「理想化」、ないし「単純化」が行われます。このとき「・・・の法則」という言葉がしばしば出てきます。

例えば、ニュートンの運動の法則であるf=ma、つまり運動方程式は基本法則です。一方、バネに結ばれた錘の振動を考えるとき、バネの伸びと力が比例するという「フックの法則」が登場しますが、このフックの法則は、基本法則ではありません。

実際のバネでは、力が伸びや縮みに正確に比例することはありません。そのような理想化された仮想のバネに置き換えて、現実の問題を数学的に解けるようにモデル化しているのです。このような「理想化」と「基本法則」とを混同すると、話の筋道が混乱しますので、注意してください。

似たような例は、摩擦力が抗力に比例するという「アモントンの法則」や、電流が電圧に比例する「オームの法則」など、数多くあります。「法則」という言葉を使うことは誤解を招くので、好ましくありませんが、この習慣は国際的です。私たちはしばしば「現象論的な法則」という呼び方をします。近似的に成り立つことが経験的に知られている、という意味と考えてください。


基本法則から導かれる2次法則

​これに対して、例えば「運動量保存の法則」や「エネルギー保存の法則」などは、基本法則である「運動の法則」から直接導かれる結論で、理想化とは関係ありません。基本法則の一部と言っても良いでしょう。

どのような問題にもあてはまる一般的な結論に、名前を付けて覚えておく・・・そうすると、それを用いることで、面倒な計算を行わずに結果を導くことがしばしば可能になります。面倒な計算は、2次法則を導く過程で、すでに終わっているからです。

高校の物理では、このような例を数多く学びます。​これは現象論的な法則を使うのとは全く意味が異なり、基本法則だけを使って解いているのと変わりません。基本法則から現象まで、真直ぐに進む道筋です。そして2次法則を上手に使うことは、物理では非常に重要なので、大学受験の勉強で鍛えておくことは良いことと思います。​​​


2次法則と現象論的法則の混同に注意する

ただ、このような2次的な法則を基本法則から導くところで、高校の物理はやや苦しい説明になっています。解らない人が多くても当然と言えるでしょう。実際に、運動量の保存やエネルギーの保存は、高校の物理では正しく説明されず、現象論的な法則と、殆ど区別がつかなくなっています。

例えば運動量保存則は、衝突の問題では必ず使われます。そしてまた、衝突の問題では、反発係数を使って、衝突前後の物体の相対速度を関係づける公式を用います。前者は(2次的な)基本法則ですが、後者は基本法則から独立した現象論的な法則です。これらが同じように説明され、同じように用いられています。そして、エネルギーの保存則は弾性衝突の場合しか使えないのに、なぜ運動量保存則はいつでも使えるのか・・・教科書には、どこにも書いてありません。

これらの2つの、性格の異なる法則を区別することは、大変重要なことで、そのためには、2次的な基本法則の正しい導き方を勉強し、頭を整理しておくことが必要です。後に「勉強のやり方いろいろ」のところで述べますが、私は高校生時代に、そのような勉強にチャレンジすることを勧めます。​​

ちなみに、2次的な法則と基本法則が全く同等で、一方から他方が双方向に導かれる場合があります。このような場合、どちらを基本法則とするかは「好みの問題」とも言えるでしょう。ドイツでは最近、保存則を基本法則とし、運動の法則を2次法則とするような考え方で物理が教えられています。


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