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科目別アドバイス(数学)

数学2 受験勉強で作っておくべき基礎


数学アドバイス1」において、数学は必要に応じて学ぶ意思があれば良い、と書きました。

しかし、どのような分野に進むにしろ、高校生までに鍛えておくべき最小限の基礎は、やはり存在します。これらは大学に入学するまでに、自由に使いこなせるようにしておくべきで、あとからでは、取り戻す機会がなかなかありません。

高校数学の重要な項目

私の考えでは、これらは次のようなところです。

 1.順列・組み合わせと確率の計算

 2.三角関数の種々の公式の習熟

 3.複素平面、ベクトル、座標回転など

 4.数Ⅲで学ぶ微分積分、特に極限値の計算・積分・微分方程式

 5.多項式・三角関数・指数関数・対数関数などを複雑に含む関数のグラフ

嫌なものばかり並んでいるな・・・と思う方々も多いと思いますが、これらは一度完全にマスターしておくことが重要です。そして、その後の人生で必要にならなければ・・・忘れてもかまいません。忘れたことと学んでいないことでは、大きな違いがあります。一度完全にマスターしておけば、概念がしっかり身に付いているので、必要になれば多少の復習でカンが戻ります。また、直接の知識は必要でなくなっても、身に付いた概念は自分の思考力の基礎になり、色々と助けになります。

積分の重要性

このうち、4と5は数Ⅲまで進むことを前提にしています。4の項目では、微分と極限値も大切ですが、とくに積分の習得が難敵です(微分方程式はほぼ積分の応用問題です)。これは、かなり頑張っても3か月程を要するので、この時期に集中的に訓練して下さい。紙と鉛筆で実行できる積分は、瞬時にパターンを見分けて実行できるように、やり方を系統的にマスターすることが必要です。

高校数学の範囲で、積分の主要部分はほぼすべて網羅されています。逆三角関数など、大学で付け足す部分もありますが、高校数学の範囲が完全に身に付いていれば、これらは僅かです。受験勉強で、これをしっかり身に付けて下さい。積分以外の内容の注意事項は、今後の記事で時々取り上げようと思っています。次回では、5のグラフについて取り上げる予定です。



<余談:積分とコンピュータ>

最近では Mathematica という数学ソフト(あるいは類似ソフト)に積分したい関数を入力すると、解析的な積分結果(紙と鉛筆による積分)を出してくれるようになりました。そのため、「積分の訓練など必要ない」と主張する人々を時々見かけます。

恐らく、このような人々は、実際に自分の仕事に利用した経験がないのでしょう。解析的に実行可能な積分には、すべて答えを出してくれると信じているようです。

実際に、これらのソフトはそのような触れ込みで登場してきましたが、現実は、そうではありません。私の在職時代、研究で積分が必要な場面になると、まずこれに頼る大学院生が多く、私は手を焼きました。ソフトが出した積分結果は、殆どの場合、使い物にならない形に纏められています(というより纏っていません)。使える形に変形する方が、自分で積分するより余程手間がかかります。ノート数ページにも及ぶ展開式を、因数分解など試行錯誤によって意味の解る形にするなど、およそ現実的でない作業です。そして積分可能な関数でも、少し高度な変数変換などを必要とするケースでは、ソフトは「積分不能」と返してきます。ある種の問題には重宝しますが、作られている原理からして、この種のソフトには自ずと限界があります。やはり積分は、若い時に習熟しておくことが必要です。

「今はコンピュータで積分を数値的に実行する時代なので、解析的に実行する必要性は乏しい」という声も時々聞かれますが・・・研究の現場を知れば、そのような発言は出て来ないでしょう。


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