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科目別アドバイス(英語)

英語3 入学試験がもたらしたもの

英語は、殆どすべての大学(のすべての学科)で入試の必須科目になっています。しかし、殆どの人々は大学に入学すると、英語の勉強に時間を割きません。とくに理系に進学すると、そのような時間的なゆとりも殆どありません。


したがって大学の入学試験は、実質的に日本の英語教育の最終到達目標となり、そして入学試験の問題が、日本人の英語の勉強方法に大きく影響するようになりました。


「読み」に集中させた入学試験

入学試験には客観性が求められます。「あの人は英語が上手だ」などという主観的な評価は許されません。採点についても、誰が行っても同じになるように、公平性が求められます。

そのような試験の形態を追求すると、どうしても「読み書き」が中心に・・・というより「読み」が中心となります。「書き」については、英作文の問題は採点に時間がかかる上、解答に多様性があり、評価を定量化することが難しくなります。記述式の試験を行っても少数の出題しかできませんが、センターテストのように受験者が多くなると、マークシート方式を採用せざるを得ないため、書かせる出題は不可能です。結局、言語力の試験にもかかわらず、穴埋め問題や選択肢で内容の理解度を確かめるような、解答が一意的で機械で採点できる設問形態が中心となります。


ましてや「聴く」「話す」の会話能力を見るような試験は、入学試験では困難です。「聴く」に関しては、電子機器とイヤホンを用いた聴き取りテストが精々でした。「話す」については・・・正しいアクセントの位置を答えさせる問題などが出題されますが、実際に正しく発音できるかどうかを見ている訳ではありません。しかもアクセント以外の発音問題では、母音が中心でした。母音の発音は個人差や地方差が大きく、正誤を断じる根拠が乏しいにもかかわらずです。


子音を聞き分ける問題では(易しすぎて)差がつかないからでしょうが・・・これでは試験のための試験になってしまっています。実際の会話で必要なのは、母音ではなく、子音を速いスピードの会話の中で的確に聞き分ける能力、そしてこれをクリアに発音できる能力です。


効率を追求した果てに・・・

入学試験によって最終目標が設定されると、教育の現場では、教える側も教わる側も、目標を達成するために最も効率的な勉強方法を追及します。

昔から推奨されていたのが、単語帳を作り、毎日これを暗記するという方法です。文章構造の勉強は中学校でほぼ終了し、殆どの高校生はこれを毎日やっていました。さらに効率を追求する人々は、単語だけ最初に覚えてしまえば良いとばかり、通称「豆単」などと呼ばれていた単語集を購入し、毎日これを覚えます。


文章の構造は分かっているので、単語の意味さえ知っていれば文章の意味は理解できるはずだ・・・ということでしょう。


これはしかし、本当でしょうか? 英文を読むとき、


 ・まず辞書を引いて単語の意味を調べる。


 ・多くの意味が記載されていれば、主要な意味は最初の方に書かれている(と予想される)から、とりあえず最初に書かれている日本語の単語をメモする。


 ・すべての単語についてこれを行い、メモした日本語の単語を、文法に従って正しい順番に置き換える。


このような「ヨコの物をタテにする」作業によって、原文の正しい意味が再現されることは、まずありません。自分でも「どこかおかしいな」と思う結果になります。そこで、


 ・辞書を見直し、各単語について第2義、第3義・・・による置き換えを検討する。


という作業を加えます。


やってみればわかることですが、このような「英文解読学」は若い人々の向学心に水を差し、勉強嫌いを作り出す最良の方法です。この作業が辛いため、手っ取り早く「単語だけ先に覚えてしまおう」と言う発想が生まれるのでしょう。


可能か不可能か?


実際には・・・これもやってみれば、すぐにわかるはずですが・・・単語だけ先に覚えるというのは「最も効率的な方法」どころか、入学試験という目標に限定しても、最も効率の悪い方法です。


さらに、英語を身に付けるという本来の目標に対しては、効率の良し悪しどころではなく、可能か不可能かの問題となります。人間の脳は、そのようなルーチンで言葉を理解するようには設計されていません。今でも多くの日本人が、この伝統的な方法に固執しているのは、驚くべきことです。


入学試験については、国際認定試験による代替の検討が行われるなど、最近は変化の兆しが見えています。そして現在では、多くの人々が、英語教育の最終目標を別のところに置く必要性を感じるようになりました。


英語の勉強方法は「国際社会でのコミュニケーションを可能にする」という目標設定に置き変えた瞬間に、大きく変わります。


次回は、これについてお話ししましょう。


(続く)

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